2022.04-06の読書

平日は毎日行き2時間、帰り2時間の計4時間かけて通勤をしている。このことを人に言うと大体引かれるし、自分でもドン引いています。唯一良いことはたくさん本が読めることで、自分は読書が目的になってしまう(家とか図書館でじっくり読書)とむしろ読み進みにくいタイプなので、通勤のついでに読むという形ができて嬉しいです。とはいえ、5月の半ばごろからは資格試験の勉強を始めてそっちばっかりになってしまい、全然読めていませんでした。肝心の資格も受け終わったが受かっているか怪しい。

 

わたしがいなかった街で | 柴崎 友香 |本 | 通販 | Amazon

この主人公は東京に生活しているのだが、やっぱり大阪や京都でぶらぶら遊ぶ描写が出てきて、はやくも懐かしすぎて胸が苦しくなった。久しぶりに地元で遊んで、かつての仲間が残っていないことに気づく描写がある。主人公は30台半ばだから、あと10年後、私が大阪に行って、まだ遊べる居場所があるか。全くの「お客さん」になってしまうのかな?ニートの友達の中井、大阪の明るいところを煮詰めたみたいなフランクさが良かった。

 

じぶん・この不思議な存在 (講談社現代新書) | 鷲田 清一 |本 | 通販 | Amazon

高校時代に結構影響を受けた鷲田先生(元阪大総長)の本、久しぶりに読み直したら当時と受け止め方が違うというか、刺さる部分が変わっていたのが面白かった。ここ近年、人と関わる際に「会話はセッション」(言葉にするとだいぶダサい、しかも結構既視感があるフレーズ)ということを心に置いている。これは会話する時に相手のリズム(テンション、テンポ、トーン、ムード等)をよく見て、適宜合わせることだったり、自分だけが、相手だけが喋りすぎないように気を付けるという、言ってしまえば会話の基本ルールみたいなのを自分の中で楽器のセッションに例えるとやりやすいなということなんだけど、時折こちらが揺さぶっても相手のリズムが変わらないように感じたり(逆も然り)、完全な「伴奏者」になっているなと感じることがある(逆も然り)。そういう会話の違和感、気持ち悪さは鷲田先生の言うところの「他者のなかに位置を占めていない不安」の一種なのかなと思う。自他は相互補完的であること、自分が相手に与えた効果によって自分が何者か教えられるということ、会話って何気なくてもそれが結構ダイナミックにわかる行為かもしれない。

 

さみしくなったら名前を呼んで (幻冬舎文庫) | 山内 マリコ |本 | 通販 | Amazon

山内さんの描くトガってる女性が好き。今が気にいらない、私にはもっとできる気がする、何者かになりたい、新しいことを体験したい、この町を出たい、東京に行きたい。自分にもこんなときがあったし、こういうトガりを無くしたくないと思った。

 

ワーカーズ・ダイジェスト | 津村 記久子 |本 | 通販 | Amazon

なんと話の最後に印象的なかたちで鍵盤ハーモニカが登場する、鍵盤ハーモニカ小説だった。

自分の中で相手と会話しているみたいに、あの人だったらどうするかな、なんて言うだろうって考える時間、尊い

 

坂の途中の家 | 角田光代 |本 | 通販 | Amazon

自分でも気づかないうちに抑圧されていること、相手に忖度して機嫌を伺って動いてしまうこと、本当は対等な関係でないことは、第三者には見えづらい。当人しかわからないその緊張感がすごく伝わってきて、終始角田さんすげ~と思っていた。公判が進むにつれて、それぞれの関係者の証言によって被告に対する見方が変わっていくのが楽しかった。

 

困ってるひと | 大野 更紗 |本 | 通販 | Amazon

これも高校時代によく読んでいた本。自助自立も相互扶助も結構だが、周囲に負担をかけず円滑にやっていくためにも、せめて難病患者には必要十分の公的な支援があって欲しいと思った。

 

ファミリー・レス (角川文庫) | 奥田 亜希子 |本 | 通販 | Amazon

大好きな本の読み直し。短編なんだけどそれぞれの話が少しずつオーバーラップしていて、各話ごとに登場人物の全く違う面がみえてくるのが面白い。

 

あと課題図書を自分で決めて8月中に読書感想文を書くっていう、読書感想文の会をやりたい。誰かやりませんか?