2022.01-03の読書

・月はすごい-資源・開発・移住 (中公新書) | 佐伯 和人 |本 | 通販 | Amazon

月の地理、環境、最新の月探査の発見など。月の岩石は地球と似ているが、チタンが豊富なのが特徴的。将来人間が月で暮らしていくにはどのように資源・エネルギーを調達するかという話が面白い。

 
友達のおすすめ本。英語で書いて和訳したような、簡潔ですっきりとした文章だった。本当にそうやって書いてるのかも?これを読んで行った気分になるのは傲慢すぎるけど、筆者が感じたその国の風景や、空気が鮮やかに伝わってくる。アフリカには将来の計画や貯蓄はないけど、助け合って生きていけるという、いわゆる「その日ぐらし」の価値観が根付いているらしい。なかなか理解しがたいところもあるけど、その文化の中で暮らせば身につくものなのかな?いずれにせよ先進国がズカズカ立ち入って否定していいものではない。記録に残らなくても、他人に評価されなくても、目の前の人を助けるってことをきちんとしようと思った。
 

年明けのEテレ特番「100分deパンデミック」で栗原康さんが出演しているのをみかけ、この番組がすごく面白かったので、以前読みかけになっていたこの本を読み直した。

伊藤野枝という方は、めちゃくちゃなことをやっているように見えるが、「青鞜」をはじめとした雑誌で発表される彼女の主張はどれもすっきりとしていて、理にかなっていて力強い。本当に文章が上手い人だなと思った。特にフェミニズムの部分において、彼女のような女性が声を上げて戦ってきたからこそ今の女性の地位があると思うと同時に、結婚制度における女性の奴隷根性みたいなものは、今でも依然として深く根付いていて全然解決されていないように思う。筆者が野枝を好きすぎてグルーヴが出ているので、大正時代の堅い文章も引用されるが全体的に読みやすい。めちゃおすすめ本

 

終始じっとりと暗い感じ。脳の記憶が精神科医によって書き換えられまくって、HDDみたいだなと思った。

 

・「利他」とは何か | 伊藤亜紗他

伊藤さんの、よき利他とは、予想外の出来事に開かれていて、自分が変わる余地がある状態だという話が良かった。

 

・自転しながら公転する|山本文緒|新潮社

誰もが直面するような問い、どうしようもない問題に対して、回り道をしながらも主人公なりの答えを出すまでが丁寧に描かれていた。終盤の災害ボランティアに行くところが良い。自分が結局自分のためにしか時間もお金も使っていないことにハッとして、利他的に動こうとするものの、慣れないから空回りしたり失敗したりしてしまうところに共感する。山本さんは隠したくなるような情けない感情を書くのが上手いなと思った。

 

特に"貴族"の華子ちゃんの生まれと暮らしぶりが固有名詞もたっぷりでリアルに描かれていて、読んでいて楽しかった。女性同士の連帯について、現実ではこんなにはっきりと口に出して、プラスのベクトルをもって行動していくのは難しいけど、でも私の身の回りにもささやかな勇気をくれるような連帯の種はたくさんあるので、それを育てていきたいなと思った。あと富裕層めっちゃホテル行くなと思った。お茶もお食事も結婚式もホテルで、ホテル以外の選択肢なさすぎねという感じ!

 

・となりのイスラム|内藤正典|ミシマ社

本来イスラム教は、人々が平等に争うことなく暮らせるよう合理的に作られた福祉システムのような面が強いのだなと感じた。イスラム教に限らず、無意識のうちに西欧の視点を経由してものごとを見てしまっていることに意識的になる必要がある。