2021よかった本

 コロナの影響で、学会で遠くに出かけたり海外研修に行ったりして学校のお金を使うチャンスが全滅し、しかし修了までにできるだけ学費の元をとりたい(単純に授業をとれって話)という思いから、2021年はたくさん大学の図書館の本を借りるようにした。結果として、例年より多く本を読めたので、特によかった本を振り返ります。こういうのは年が明ける前にやるものですが...

 

Amazon.co.jp: 羽田圭介、クルマを買う (WPB eBooks) eBook : 羽田圭介: 本

車の会社に行くことになり、けど車のこと全然知らないので、まずは読み慣れている羽田さんの本なら...と思って読んだ。羽田さんが数々のディーラーをめぐり何台も試乗を経て車を買う。大きな展開があるわけじゃないけど、人が悩みながらものを選ぶときの頭の中が覗けたみたいで面白かった。自転車でディーラー行くのとか、アポ無しで試乗しまくるのとか、羽田さんの臆せず大胆な行動できるところが好き。

 

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書) | 小川 さやか |本 | 通販 | Amazon

下からのグローバル化=効率化のために労働者を切り捨てず無数の雇用を生み出す、知識や技能を独占せずに共有する、経済が水平なネットワークで動く

常に計画を立てて将来のために今を消費するような生き方は、日本のように整えられた社会だからこそできることで、でも確かにやりたいことをやりたい時にやる、という気持ちを制限している部分があるから、この生き方に縛られなくてもいいのかなと思った。Living for Todayの考え方はアナキズムとも繋がるかもと思った。

 

ポトスライムの舟 (講談社文庫) | 津村 記久子 |本 | 通販 | Amazon

鬱屈とした日常を抜け出すための作戦が毎日を続けていく原動力になる。けど、日常に向き合うことをもう少し続けてみようかな、と思うような出来事もある。私も含めて多くの人の暮らしがこういうことの繰り返しだと思う。津村さんの本はどれも好きだけど、この本はとくに勇気をくれて好きな作品だった。ポトスライムの描写を始めとして全体的にさわやかな印象がある。主人公の周りの女性たちが素敵!こんな友達が欲しいな

 

くらしのアナキズム | 松村圭一郎 |本 | 通販 | Amazon

"いまアナキズムを考えることは、どうしたら身の回りの問題を自分たちで解決できるのか、そのためになにが必要か考えることでもある。"

2021は政治について考えることも多かったが、為政者を監視する、選挙に行く、くらいが具体的に政治に関わる手段とされていて、でもそれだけじゃなくてもっとあるよな、と思っていたのでこの本に納得する部分が多かった。国という大きなシステムを変えようとするだけでなく、自分の身の回りの問題にできるだけ自分で対処するという意味でアナキストでありたいと思った。でも一方で伊藤野枝みたいなバチバチアナキストもかっこいいよネ!

 

以下の3冊は2021キタカガヤフリーで勝手にやらせていただいた「おすすめ大阪本3選のコーナー」でも紹介しました。

大阪 | 岸 政彦, 柴崎 友香 |本 | 通販 | Amazon

外から大阪に来た岸さんと大阪で育った柴崎さんの交互のエッセイ。柴崎さんも書いているように、自分が大阪(全く縁のない土地)に住んでみて良かったのは、自分の地元と同じような人がいて、同じような日常があるということをちゃんと知れたことだと思う。

 

仲野教授の そろそろ大阪の話をしよう (ちいさいミシマ社) | 仲野 徹 |本 | 通販 | Amazon

医学部の仲野教授の本。生命科学図書館で借りた。地理、文化、歴史、あらゆる方向から大阪を考えることができて楽しい。が、ゆるい対談で、主観的なイメージから語る部分も多いのであまり全部を真に受けなくてもよさそう。大大阪時代の関一の都市計画の話、大阪のおばちゃんはある種の女性解放だという話、関西私鉄をつかむキーワードの話が面白かった。

あと仲野先生総長選落ちてしまって残念!いつか総長になってほしいです。

 

すごいぞ! 私鉄王国・関西 | 黒田一樹 |本 | 通販 | Amazon

上の本を読んで買った。確かに関西の私鉄はそれぞれに個性があって面白いな~と思う。

発車案内機や発車時のアナウンスなど、鉄道を好きな人が注目しているディテールが分かるので、いつも何気なく乗っている各私鉄のみかたがちょっと変わって面白い

 

あと、本屋にもよく行くようになったが、ビジネス本、自己啓発本、料理の本、あとは文庫の小説ばっかりだな〜と思うことが多い。本は読めば読むほど本屋から読みたい本がなくなるのかもしれない。需要に合わせて入荷してるだけだからしょうがないけど、でも地元の浦和の本屋には、チェーン店ながら手書きのポップがたくさんあって陳列が工夫されてたり、まんべんなく幅広いジャンルの本が置いてあって、そういう本屋さんを応援するためにも、これからできるだけ書店で本を買いたいなと思った、社会人になるし。amazonのリンクばっかり貼ってしまいましたが...